
私は外資系の化学メーカーからの転職です。そこで「触媒」の営業を手がけていました。触媒という製品は多様な用途を持っているため、石油化学メーカーに加えて重工メーカーや電機メーカーなどさまざまな業界のお客様とおつきあいを重ねていました。あるとき、温室効果ガスを削減する触媒のマーケティングを商社と組んで実施することになったのですが、そこで「排出権取引もパッケージしてこの触媒を全世界で売り込めるビジネスモデルを検討できないか」という商社からの提案を受けて……製品や技術をベースに拡販を狙うというメーカーとはまったく違う視点でのマーケティングに、私自身、とても衝撃を受けました。まさに“モデル”を創っていくような仕事。メーカーでのビジネスは、やはり自社の製品に制約される。しかし、商社にはその縛りがない。自由な発想で、個人の能力如何で、どんなビジネスも動かせる。次第に、商社で仕事がしてみたいと惹かれるようになり、転職のチャンスをうかがっていたのです。
そんな折、たまたまホームページで丸紅が「ポテンシャル採用」を実施していることを知り、応募しました。果たして自分が通用するのか、不安もありましたが、面接では自分がなぜ商社で仕事がしたいかを懸命にアピール。採用になったのは、おそらくその熱意を買っていただいたのだと思います。配属に際しては「LNG部はどうか」という打診をいただき(注:LNG=液化天然ガス)、資源に関わるビジネスはスケールが大きそうだ、自分の力を試すには絶好のフィールドだと、迷わずそのオファーを受けました。

LNGに関して、丸紅は中東、アフリカ、南米と3つのプロジェクトに参画しています。カタールガスLNGプロジェクトはそのひとつ。ここで丸紅は、プロジェクト出資者の一員として年間600万トンものLNGを日本の電力・ガス会社に安定供給する重要な役割を担っています。
私は配属後、まさにこのプロジェクトに関わることに。LNG部は、プロジェクトの収益管理、事業会社の運営、日本の買主である電力・ガス会社と売主間の調整業務、買主への最新マーケット情報の提供など、この巨大なプロジェクトを円滑に運営していくためのさまざまな業務に取り組んでおり、その中でも私は、日本買主の窓口の一員として対応業務にあたっています。そのため買主のお客様をアテンドして、カタールへ出張する機会もしばしば。丸紅は、キャリアの浅い私にもどんどん仕事を任せてくれます。エネルギーというのは安全保障に関わってくるため、責任の重さは以前とは比べものにならない。まだまだ入社して間もないためプレッシャーも大きいのですが、チームの先輩方とも連携しながら何とか仕事を進めています。ちなみにチームのひとつ年上の先輩もキャリア採用で、その人は国内の大手電機メーカーの出身。異業種から転職された先輩が活躍している様子も励みになります。
現在は、カタールガス・プロジェクト対応に加えて、新たな事業テーマも担当することになりました。それは「LNGをトレードする仕組みを新たに創る」こと。丸紅は、本当にエキサイティングな仕事がどんどん訪れる会社です。

LNGというのは、天然ガスを-162℃に冷却し液体にしたもので、排出するCO2が石炭や石油よりも少ないので、環境負荷が低く、有力な石油代替エネルギー源として注目されています。ただし、石油とは違ってマーケットにおける流動性がかなり低い資源。LNGプロジェクトは、ガス田、液化設備、海上輸送、受入設備等チェーン全体を構築するには一兆円規模の莫大な設備投資が必要なため、金融機関からの融資を受けるためにも需要家との長期契約に基づく相対取引が基本なのです。しかし、近年LNG市場のグローバル化に伴い、伝統的な長期契約に加えてLNGのスポット取引が世界的に急増しています。LNGは、地域によって独立した市場価格を形成しているため、時にかなり地域価格差が生じる。つまり、スポット取引において価格の安い地域で調達し、価格の高い地域で提供することで、収益機会が生まれるのです。
従来のようにプロジェクトに参画してサプライヤーの一員としての事業を進める形態ではなく、私たちが自らグローバルなトレードの仕組みを構築し、サプライヤーと需要家との間に立って、LNGを取引することによって収益を上げていく。そんなビジネスを創出しようとしているのです。
私も現在、アメリカやヨーロッパに出張し、丸紅にLNGを供給してくれるサプライヤーの開拓に奮闘しています。さらにこれからは、LNGタンカーでの輸送手段の確保など、トレードのインフラも整備していなければならない。クリアしていかなければならないことはたくさんある。でも、これはまさに私が商社で味わってみたいと思っていた「新しい“モデル”を創っていく」仕事。ぜひこのトレードを軌道に乗せ、商社ビジネスの本当の醍醐味をさらに深く追求していきたい。そして将来は、海外拠点のマネジメントなども経験し、丸紅だからこそ得られるキャリアを重ねていければと思っています。





